タイの知識とは何かー民間医師とは誰か

 民間医師または村民医師については、中年世代なら半数の人がよく知っているだろう。子供や若い世代だと、知らない、またはよく理解していないだろう(診療所やクリニック、病院の医師しか知らない)。

もし村の共同体に近く暮らしている人で、助けを求めたことがある人なら、村民医師は普通の人で、特別な能力や栄誉を持った人でないことをよく知っているだろう。

 村民医師または民間医師とは、共同体の仕事として村人を助ける人であり、知識を持ち、その土地をよく知り、薬草の知識を持ち、その薬草を古い知識をもとに用いることの出来る人である。昔は、父親、母親の兄姉、祖父の弟妹、祖母、叔母叔父、曾祖父母、先祖がそういった知識を持ち、その土地や土地以外の人が怪我病気をして助けを求めてきたときに助けていた。

 こういった役割をする人は、慈愛に満ちた心を持ち、人を引きつける魅力があり、病気怪我などの問題を抱えた人を助けるのが好きで、問題のあるなしに関わらずいつでも人を受け入れることのできる人だった。なので、人々はこの人のことを「医師」と呼んだ。具体的には、ポーモー(お父さん医師)、アーモー(叔父叔母医師)、ルンモー(伯父医師)などと呼んでいた。なので、別名として民間医師や村民医師という呼び方もできた。同じ村民であるのも事実だからだ。

 本当のところ、彼らが医師と呼ばれるのは、仮面をかぶるからでありーこれは普通のことなのだがー、そう呼ばれてもよいのだが、私、コムペット・ブンプラコムは、深いところでは、自身は志願者であり、信仰心を持ち、古くから伝わる知識を用いた呪文で治療して助けるからであり、心から、私たちはこの世にただ生まれて来ただけで、生まれてきたこの世もこれだけであり、出生があれば老いがあり、痛みがあり、そして死があるだけのこと、死後はまたどこかへ行くのだ、と信じているからであると思っている。私たちは苦痛を取り去り、快適な心を取り戻して人を助けることができる。昔はそれに対する報酬はなかった。ただ、彼らは治癒した後、??を乞い、罪を赦すよう、別の言葉で言えば”ダムフア”をするよう願っただけだ。

 しかし、すべては変わってしまった。文化も変わり、資本家が参入して欲が生まれた。以前は心にある言葉はひとつだけ「薬はもうらうー医者は助ける」だった。かつては、助けあい、相互依存し、愛や親睦を育み、お互いに温かさを築いた。これは行事や文化を通してである。学校などなくても知識は伝わり、免許はないけど医者であることは民間医師または村民医師であることなのだ。

 本当に貧乏な人にとって効果があるのだが、実のところ、本当の医師もいるし、良い医師もたくさんいるし、はっきりしない医者もたくさんいる。それぞれの知識で、ふさわしいかふさわしくないかを決める。もうひとつ言いたいのは、民間医師と古代式の医師、つまり古式マッサージの医師が同じだと誤解している人がいることだ。古式マッサージ医師は、医師免許が必要な医師であり、施設や学校で学び、薬草、古式薬についても深く学び、これがメインの柱となる。しかし民間医師は、民間の知識、専門書、行事、民間薬(治療)を伝えるために、マンツーマンで、目で見て伝承し、土の要素、水ンの要素、風の要素、火の要素の4つの部分に分けることで人を助けてきた。なので、民間医師と古式マッサージ医師とは別の分野である。正しく分けることが、学ぶことを容易にする。民間医療と民間医師は、人の治療のための知識を何種類も、幾通りも持っている。例えば、吹く、拭く、センを打つ(トクセン、)踏む(熱くした足で踏む)、舐める薬、吹く薬、塗る薬、呪文をこめた飲み薬など。これが質の高い民間医師が効果をあげていることなのだ。田舎の人で、お年寄りや父母世代の人、全ての人がよく知っている。口伝えや噂で有名になり、サービスを受ける人や治療を受けに来る患者が多くなる。時折、訪れた患者の症状をみなければならないというだけだ。多くの人、97%の人が自信をもって治療を受けに行く場所は病院で、民間医師の助けを求めてくるのは3%にすぎない(これは個人で感じているだけである)。

 要約すると、様々な方法を用いた共同体内または共同体外の人、一般の人への治療は、多くの宗教の教え、つまりこれまで言ってきた知識が由来する教えを介したものである。

 各地方の民間知識は、愛、調和、平和、はっきりとわかる健康をつくりだすもので、もし自分たちの健康についての問題が起きたら、自分たちで治療する、と考えている。
 

 









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